今、入院している病院から波乗りが出来る浜辺迄、健常者なら歩いて行ける距離。しかしオイラはまだ健常者とは言いがたい。病室から空を眺めると海の様子迄、不思議と手に取るように解る。風の気まぐれで海の臭いが運ばれて来る事も、お見舞いに来てくれた友達が潮の香りを持ち込んでくれる日もあった。病室にいても日増しに紫外線量が増えて行くのがガラス越しにも解る。ベットのシーツの目覚めの色がどんどんと青みを増して行く。外出も撮影もままならない。波乗りなんて、もっともっと遠い話。去年の今時の写真を拾い出しては思い出す。めそめそして懐かしさにとらわれている訳ではなく。嬉しい事に我がベターハーフのアシスタントを努めてくれる女性が、写真の質感表現や色の再現に興味を示し始めてくれたから。サンプル写真としてみせる為に開かずの引き出しから。オイラの留守中、代打を沢山こなしてもらっている。のろけになってしまうが、有能だと思う。「見て、選んで。」とコンパクトフラッシュが届く、彼女がこなした仕事の数々。引き金を引いたのはオイラだけど嬉しい気持ちとジェラシーが半々。最近、アドバイスしてあげるからデータ見せてよと、お見舞いに来て貰う口実にしてる。不思議だ。最も恋しい女性が目の前に手渡された懐かしい感触のカメラ、其の画面に映り込んでいる海も恋しい海。拡大プリントして病室の壁面に飾り、懐かしいサーフボードと共にディスプレイしたくなった。何となく日本の床の間の演出って恋しさを凝縮した箱庭ではないのだろうか?西洋で言えばボトルシっプも同じ意味なのかな?千利休も恋しさのあまりに過度の凝縮美を生み出したのに違いない。もう暫く自分では写真は写してはいない。TVで天気ニュースを見る度に撮影と言う行為も恋しくなって来た。もう、彼女にどこそこへ何時頃行って太陽を入れ込まないで西の空を地面を舐める角度で写してご覧、とメールすると、オイラが予測していた写真と同じものがほぼ出来上がる。
そこに足りないのは写真素材として美しいシルエットの彼女自身。彼女が遠隔でのセルフ撮影をマスターすればマグナム依田作品が完成すると思う。オイラの作風、恋しさのレイヤーに過ぎない。相棒のブログランキング上昇中。応援して上げて下さい。写真もオイラが褒めるより皆さんの評価を聞かせて上げて下さいね。お願いします。
Smile for The Paparazzi : デットストック!?