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2008年12月5日、老舗ロックバンドTHE MODS撮影中!くも膜下出血を発症、一緒に仕事をしていた最愛の女性の迅速な対応が功を奏し、重症ながら危篤から生還。身体の後遺症、心の後遺症の中、自分探ししています。


by mugnum-yoda
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明りを囲むと言う古典的な美

明りを囲むと言う古典的な美_b0086920_100321.jpg
かすかな嵐の音がする。
夕暮五時
風がそうつと 雪のくぼみや木の根にまつわり
凍てついた道を越えて
冷たく硝子戸をならす。
まだ明りはつかず 女は薄暗い台所に急がしく
黒い外套の人が
帰りついて戸口をあける。
街ではかなしい豆腐売りの笛がなる。
夕方鋭い空気のなかに遠くで 心の及ぶ限りの遠くの野で
風が林に入る音だよ。

(伊藤整『雪明りの路』より「冬の詩三篇」)

この伊藤整の『雪明りの路』をイベントを写しに行く前に購入し、読み込んだ。馳星周氏の『約束の地』の時のように、それらのワードに対して、離れ過ぎず、付き過ぎ無いイメージをロジック。
詩は暗唱、朗読することが良いらしい。かの教典達も、それぞれが詩だ。
オレゴン、カナダで釣りやトレッキング、川下りのアドベンチャーに時間を費やすと、必ず、詩を暗唱している人に出くわす。スエーデン人ドイツ人が圧倒的に多いのは何故だろうか?独り言は独語とも書くからか?僕は幼少期より独り言が止められない。良く「何?」って聞き返されてしまう。そんな、格好の悪さをカモフラージュする為に詩を僕も朗読するようになった。
BE-BOP A LOULA SHE'S MY BABY、
そう、僕が唱えるのはロックンロールの歌詞。これが以外と海外でも受けが良いんだ。
その夜は『雪明かりの路』をぶつぶつ呟いた。詩の冒頭部分、
「女は薄暗い台所に急がしく」を「女は薄暗い台所に美しく」と少しばかり、詩を自分流にアレンしながらね。
そう、明り、すなわち火なのだ。火は暖かく、優しさ幸せの象徴。まして、僕らのような
北方に暮らすものにとっては特に。

そんな時に、目の前の光景が、まさしく台所の竃の火を絶やすまいと案ずる女性そのもの、
北京原人が火を扱いはじめて、おおよそ四千年との事で、中国、食の歴史四千年とされているそうだ。火を使う作業は
高次な作業で人間以外には出来ない。犬達は、火を眺めるのが好きなのは、太古に人と暮らした安堵の記憶によるものらしい。安堵さは癖
であり、常習性を呼ぶ。それで犬達は人の手助けをするから、頼むから、側に居させてくれと嘆願し、何世代も、それを続けてしまうのだ。先日、作業療法の映画鑑賞で「HACHIハチ公物語」を見た。とにかく ニューヨークの雪の夜に金に輝く秋田犬が美しかった。ストーリーはね、笑っちゃった。 ハチ公がね、  大好きな S ちゃんを追い掛ける僕、そっくりなんだもん。Sちゃんと、犬達と冬の夜、ストーブから僅かに見える炎を愛でた日が恋しい。
by mugnum-yoda | 2010-02-10 10:06