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2008年12月5日、老舗ロックバンドTHE MODS撮影中!くも膜下出血を発症、一緒に仕事をしていた最愛の女性の迅速な対応が功を奏し、重症ながら危篤から生還。身体の後遺症、心の後遺症の中、自分探ししています。


by mugnum-yoda
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親爺を写す照れくささ

親爺を写す照れくささ_b0086920_718474.jpg
電話が鳴っている!確認すると親爺からだ。
しつこく電話は鳴っている。いつものように身体が少し萎縮する。

昔と違い、不良沙汰でもしなくなり、やましことは何も無いのだが
相変わらず居留守を使うことの方が多い。

電話が鳴るとドキリとするが、嬉しくも悔しくも。
話をしていなくても何故か今を読まれている。

ワラををもすがりたいけど誰にも話せない時にかぎって電話は鳴る。
歯がゆくて悔しくて嬉しくて、そんな不思議な気持ちで鳴り響く電話を見つめる。

決して親爺が嫌いな訳ではない。むしろ好きの最大級レベルの何処かに位置するであろう。

親爺は言葉のマジシャン、文芸評論を目指し室生犀星の門を
詩歌を追求し堀口大学の門を、そして最終的に汗し働きながらでも
構築出来る俳句を選び高浜虚子の門をくぐった

親爺の初期の俳句はロシア文学のそれのように屈強な感じの中に美しさがあった。
近年の作は北欧系の長い夜の幻覚のようなエロスがびったりと張り付いている。

伝統俳句の流れの中にいるが型破りな表現で若い女流俳人達からは人気者である。
頑固に古いスタイルに固執した同年齢の俳人からは異端視されて毛嫌いされているようだ。

こんな親爺だから俺に話す時も理路整然といらない言葉はない。
話す前から理論武装があり、人を動かす文脈の順序を巧みに操作してくるから。
話の終わりに「な、そうだろマサヤ!」と言われると頭を縦にふるしかない。

間違ってないから余計に、なんだかもの凄く腹立たしい。
同じ考えだと言うことに内心はかなり安堵しているのだが正直にはなれない。

電話にいさぎよく出るには、精神統一に近い心構えが出来ていないと
親爺の理論にへなへなと脱力し倒れ込んでしまいそうだ。

親爺もそんな俺を察してかGFにそれとなく電話をかけ
俺へ電話で伝えたい内容の前知識が伝わるようにしているようだ。


男が男を写す時の話を大写真家、長友健二先生がマンツーマンで教えてくれた。
俺に足早にいくつかの男臭い写真の技法を叩き込み他界してしまったが。
毎回、日中の光源の中、人物にカメラを向けファインダーを覗くと思い出す。

親爺が写してくれと言って来る。こりゃまた胃が痛くなる話だ。
俺の写真は感情移入と精神統一でなりたつYOGAみたいな世界だから
本気で精神統一出来るかが、未だに自信が無い。

「勘弁してくれよ!俺、室内じゃストロボ自信ないよ!」いつも弱気だ。
「バカ言ってるな〜!何年、写真やってるんだ!」と怒鳴られる。

撮影に入るとスイッチが切り替わるのだが、其処迄の道が俺には長い。

「マサヤ!いい加減にしろ!もう何枚かいいのあるんだろ?」
「もう少しで出来上がるから待ってくれ親爺!」
「しつこいな〜!」「親爺に似たからね!」「そうか〜」と照れる親爺

そんな最終ショットがこの写真だ。角川書店の何かのプロフイールだそうだ。

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by mugnum-yoda | 2007-06-15 07:26